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予算管理のシステム化検討!~押さえておくべき3つのポイント~

2021年06月10日

 

予算管理業務を既にシステム化している企業はありますが、今現在もExcelを利用して情報の収集や集計を行っている企業も数多くあります。Excelはレイアウトを自由に設計できるうえ、数値の集計は関数を用いて手軽に行えるため、年間で限られた回数しか行わない予算管理業務で利用されがちです。しかし回数が少ないとは言え、Excelにはファイルのバージョン管理が難しい等の制約があり、予算収集や集計を行う作業の負荷が高くなる傾向にあるため、システム化を検討したいと考える企業もあります。
その際に悩むのが、どのような観点でシステムを選べば良いのかという点です。今回は予算管理システム選定時に留意することで、効果を得られやすくなるポイントを解説します。

 


Excel予算管理の課題

Excelを利用した予算管理には複数の課題が存在しています。ここでは代表的な課題を紹介していきます。

 

①Excelファイル配付の非効率
Excelを使った予算策定は予算入力フォーマットの配付、担当者による予算入力、予算管理部門の担当者による予算ファイルを収集、予算データの集計、報告資料の作成のような流れとなります。
入力担当者が多くなれば、Excelファイルの受け渡しには時間を要しますし、組織変更や新規事業等が発生した場合には、配付するExcelファイルの修正が必要となる等、膨大な作業が発生します。

 

②Excel予算管理ファイルの属人化
Excelは柔軟性の高いシステムですので、様々なカスタマイズが可能です。しかし、細かな設定ができるために作成者以外はわからないブラックボックスとなり、属人化しやすい傾向にあります。ファイルの設定が複雑な状態では、作成した本人が担当部門からいなくなると誰も修正ができないことになってしまいます。
また、予算入力担当者が予算入力ファイルの行や列を増やしてしまい、ファイルを収集してもうまく集計ができないケースもあります。

 

③バージョン管理と進捗管理が不能
予算策定を進めるに際し、一次提出予算、二次提出予算、確定予算等、複数のバージョンを作成することが一般的です。しかしExcelのみでバージョン管理を行おうとした場合、複数のファイルやシートを作ることになります。これによりデータの不整合や、予算管理担当者内で複数ファイルを保管する等、様々な問題が発生する可能性があります。
また、Excelにはデータの変更履歴を記録できる機能がないため、いつ、誰がデータを変更したのかを把握することや、特定の時点へデータを戻すことが困難です。

Excel予算管理では、Excelの特徴に起因する課題を抱えながら作業を進めることになり、業務全体の非効率につながります。次から課題を解決するために、予算管理システムの選定ではどのような点に留意をするべきかを整理をしていきます。

 

 

システム選定のポイント~予算データ収集の効率化

予算入力フォーマットをExcelファイルで作成している場合、予算管理の担当者がフォーマットを修正した場合の再配付や、入力担当者との送受信等に多くの手間を取られてしまうことがあります。

 

予算管理システムには予算入力フォーマットの作成や修正ができ、入力された予算データを送受信できる機能が整備されていることが必要になりますが、ほとんどの予算管理システムでは専用の入力画面が用意されており、修正したフォーマットの配信やデータの提出・確認等ができる仕組みを持っています。また、Excelをそのまま利用して入力することのできるシステムや、Excelと非常に類似した画面と操作性を提供しているシステムも存在します。

 

Excelを利用する予算管理システムは、システムが提供する固有の画面や機能に自社の予算入力・収集方法を合わせることが困難な場合や、予算入力を行う現場担当者には従来と同じようなExcelの見た目で入力をさせたい時には有力な選択肢となり得ます。
本来、システムが提供する画面に合わせて現場に入力してもらうことが最も効率的ではありますが、現場への教育コストや、操作に慣れるまでの時間等を考慮しますと、入力は今までのExcelと同じか類似した方法にして、収集や集計の時間を短縮するシステムを選ぶ方が最終的には効率化を図れる場合もあります。

 

システム選定のポイント~属人化の予防

Excelによる予算入力フォーマットの設定は、集計の短縮や利便性を高めることを目的として複雑になることがありますが、作成者以外はわからないブラックボックスとなり、属人化するリスクを抱えることになります。

 

予算管理システムでは属人化を防ぐために、予算収集・集計の仕組みが一般の社員でもわかりやすい設定方法を有していることも大切です。予算入力フォーマットは作りやすく修正も簡単にできるものか、組織変更や予算管理項目の変更が生じた際に適時適切に対応できるか、そもそも現在の設定は誰が確認しても理解しやすくなっているか等です。
予算入力フォーマットや予算集計後に出力するレポート等は、自社の組織や商品・製品、事業の変化等に応じて修正しなければなりません。予算管理システムを選定する際には、その設定をシステム画面上において、なるべく簡易な操作で変更することができるかを確認しておく必要があります。また、予算を入力する項目となる勘定科目や組織構成等も、ある程度は直感的な操作で変更できるようになっていることが望ましいです。
そして、予算管理システムの中身がブラックボックス化しないで済むように、当初設定した予算入力項目が予算入力フォーマットと出力レポートへどのようにつながり、関係しているのかを後追いすることのできる仕組みを持っていることが大切となります。

 

予算管理システムは、情報システム部門のようにITに詳しいメンバーだけではなく、実際に予算入力フォーマットや出力レポートを作成する経理部門や経営企画部門のメンバーも設定操作ができるか、という視点で選択することが重要になります。

 

システム選定のポイント~バージョン管理と進捗管理への対応

Excelは高機能ですが元は表計算ソフトであるがゆえに、ファイルのバージョンを判別する機能やファイル受け渡しの履歴等を追う機能がありません。予算策定時には、予算入力を担う現場部門と予算管理を担当する経理部や経営企画部の間で、「一次予算」・「一次予算の修正」・「二次予算」等のバージョンが作られ、それぞれにやり取りが発生します。予算管理の担当者がそれらを把握するのは煩雑で、作業の時間を要します。

 

予算データのバージョンは企業によって数多くなる場合もありますので、システムを選ぶ際には何段階までデータを保持できるのかという点も確認しておく必要があります。
そして、予算データの作成や修正を進めるうえで必要になるのが進捗管理機能です。
予算策定の業務は、
①現場担当者から提出
②現場部門の確認・承認
③予算管理部門の確認・承認
④最終承認
のように流れていきます。今、部門の予算データはどのような状況にあるのか、誰が確認をしているのか等を見ることのできる進捗管理機能があると、予算データの提出や承認の状況を各担当者に確認する必要がなくなりますので、効率化に役立ちます。

 

また、予算管理を進めるうえで必須になるのがワークフロー機能です。担当者が予算を提出し、部門長や予算管理担当者が確認をした結果、承認や差し戻しが発生しますが、それをシステム上で実行できる機能がないと、予算データの状態や担当者が何をすべきか等の情報がうまく伝わらずに、予算管理業務が滞る元になってしまいます。
システムがワークフロー機能を有し、提出・確認・承認/否認/差し戻し/保留等の流れを回すことができ、一目で状況を確認できる仕組みがあることが望ましいです。

 

予算管理システムはExcelが不得意とするバージョン管理と進捗管理を備えていて、利用者が全体の状況が把握しやすいものを選択することが大切です。

 

予算管理のシステム化に向けて

予算管理システム選定の留意点を3つの観点でご紹介しましたが、これらを踏まえて選定を行うためには、事前に整理をしておくべきことがあります。

 

①予算管理で利用しているExcelファイルを洗い出す。
予算入力のフォーマットは売上・原価・経費で分かれていることが多く、科目によってフォーマットの種類が細分化されている場合や部門により異なることもあります。予算収集後のアウトプット資料も用途別に複数存在することも一般的ですので、データの流れを理解するため、現行で利用しているExcelファイルを集めて内容を確認する必要があります。

 

②機能要件を洗い出す。
予算管理で利用しているExcelファイルの構造を分析し、シート内で使われている関数やシート間・ファイル間の連携等を確認します。更に業務やデータの流れも確認したうえで、予算管理システムに必要な項目・機能を洗い出します。入力できる項目の数、扱える項目の属性(数値、文字列)、項目の計算機能、ワークフローの分岐条件等を確認します。

 

③導入・運用費用の上限を決める。
システムを導入して運用するにはライセンス費用・導入費用・保守費用が必要です。高機能なシステムは実現できる業務の幅が広くなりますが、費用は高額となります。予算管理システムで実現したい業務と機能要件を整理し、システム化した場合の費用対効果を算出して、支払える金額の上限をあらかじめ決めておくことも大切です。

 

予算管理に関する業務と必要な機能要件を整理して、3つの留意点をベースにシステムを見ることで、自社にマッチした予算管理システムを選定することが可能です。

まとめ

■Excel予算管理の課題
・Excelを利用した予算管理の代表的な課題が3つある。
・①Excelファイル配付の非効率
・②Excel予算管理ファイルの属人化
・③バージョン管理と進捗管理が不能
・これらの課題が予算管理業務全体の非効率を生んでいる。

 

■システム選定のポイント~予算データ収集の効率化
・予算入力フォーマットをExcelファイルで作成している場合、修正したフォーマットの再配付や、入力担当者との送受信等に多くの手間を取られてしまうことがある。
・入力者の教育コストを考えると、今までと同じExcelか類似した画面で入力できるシステムが効率的な場合もある。

 

■システム選定のポイント~属人化の予防
・予算入力フォーマットの設定等が複雑であると、作成者以外は修正できないというリスクを抱えることになる。
・実際に予算入力フォーマットや出力レポートを作成する部門のメンバーも設定操作ができることが重要である。

 

■システム選定のポイント~バージョン管理と進捗管理への対応
・Excelにはファイルのバージョンを判別する機能や、ファイル受け渡しの履歴等を追うことのできる機能がない。
・Excelが不得意とする分野をカバーし、利用者が全体の状況が把握しやすいものを選択することが大切である。

 

■予算管理のシステム化に向けて
・選定のためには事前に整理をしておくべきことがある。
・①予算管理で利用しているExcelファイルを洗い出す。
・②機能要件を洗い出す。
・③導入・運用費用の上限を決める。

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