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Excel予算管理からの脱却~予算管理業務の見直し~

2020年08月06日

 

業務を効率化させるためのツールとして、多種多様な業務に特化したシステムが多くリリースされています。例えば、販売管理業務に特化したシステムや人事管理業務に特化したシステムなど、その種類は多岐にわたり、業種や業態を問わず、あらゆる分野でシステム化が進んでいるかと思います。しかしながら、予算管理業務に対しては、専用のシステムではなく、Excelを主に利用しているケースが多いように感じますが、皆さまの会社ではいかがでしょうか?

Excelを利用する理由として、誰にも馴染み深く、誰でも使い慣れていることが、採用のポイントになるのではないかと考えます。ただ、Excelはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。今回は、Excel予算管理における現状や課題を明確にして、Excel予算管理ではなく、予算管理システムを利用する効果を紹介します。

 


Excelを利用した予算管理を採用する理由

予算管理業務において、Excelを利用する企業が多い理由として、以下のようなことが考えられます。

 

①安価に利用ができる
Excelは一般的なITツールと比較して、格段に安価(数万円程度)で利用することができます。サブスクリプション版(月契約or年契約)とパッケージ版(買い切り)の2種類の形式があり、企業の目的に合わせてプランを選択することができます。

②誰でも使い慣れている
Excelはビジネスの必須アイテムと言って良いほど、業務上欠かすことのできないツールとなっています。例えば、予算管理業務だけでなく、見積書や稟議書、議事録の作成など様々な用途で利用されており、誰でも使い慣れていると言えます。

③自由度が高い
Excelの関数やマクロに関する知識が豊富な方は、複雑な計算ロジックを組んで予算フォームを作成したり、グラフィカルなグラフやチャートを作成して、予算と実績の差異を詳細に検証する等、自社のニーズに合わせた自由度が高い分析が可能となります。

 

予算管理業務において、予算を主管する部署では限られた人数で予算を管理・分析する作業を行いますが、予算編成をする際には、複数の部署が予算策定に携わることになります。このことから、複数人が関与して策定をする予算業務の場合は、誰でも操作をすることができるExcelを利用することで、予算フォームに数値を入力して、予算データを報告・提出する作業プロセスを円滑に進めることができるメリットがあります。

 

Excel予算管理における様々な弊害

しかしながら、Excelを多用した予算管理業務にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。

 

①組織改編による予算フォーマットの修正
予算管理において、組織改編に伴う部門変更や勘定科目や製品等の管理セグメントの変更が発生した際、Excelの場合は入力フォーマットをその都度変更をしなければなりません。システムであればマスタを変更するだけで完了するケースもありますが、Excelは全てのファイルを修正しなければならず、この修正作業は非常に負荷の高いものとなります。

②予算ファイルの収集・集計作業
Excelの場合は、各部署から収集した予算ファイルを集計する際に、転記ミスや集計ミスが起きるケースが多くあります。Excelの予算ファイルには複雑な関数やマクロが組み込まれていることも多く、誤って計算式を消してしまったり、コピー&ペーストで計算式を狂わせてしまうこともあり、そうなった場合は、Excelメンテナンスの作業負荷が大変です。

③リアルタイム性に欠ける
Excelの場合、予算管理担当者が各部署に予算ファイルを配布をしてから集計をするまでに時間がかかってしまいます。部署ごとに予算ファイルを提出するタイミングが異なるため、リアルタイムに予算の状況を把握して、業績を予想したり、経営分析をすることができません。

 

Excelは万能なツールではありません。複数人数で情報共有をするのを苦手として、集計作業に多大な工数がかかったり、関数やマクロの管理が属人化してしまうなどのデメリットがあります。一方で、完全にExcelの作業をなくす必要もないとも言えます。例えば、Excelが対応できるチャートやグラフを用いたレポート作成はExcelに任せ、Excelが対応できないバージョン管理やアクセス権限などをシステムに任せるのも一つの手かと考えます。そのため、Excelが不得意な作業をシステムで、システムが不得意な作業をExcelで補うことが望ましいと言えるのではないでしょうか。

 

Excel予算管理における企業の実状

弊社では、予算管理セミナーを定期的に開催しています。その際、セミナーへ参加していただいた方を対象に予算管理業務に関するアンケートを必ず実施しており、その結果を集計すると、以下の通りになります。

 

Q1:現在の予算管理業務について(複数回答あり)
・Excelを中心に利用している:71%
・ERPや会計システム等の機能を活用している:49%
・自社開発の機能を利用している:6%
・予算管理ツール・パッケージを利用している:20%

 

Q2:現在の予算管理業務において課題に感じていること(複数回答あり)
・予算の集計業務:79%
・入力フォーマットの作成やメンテナンス業務:54%
・予実対比時の過去実績データ確認作業:30%
・各部門から提出された膨大なファイルの管理:12%
・多元化分析用データの抽出:37%
・各部門の提出状況やステータス管理:31%

 

アンケート結果として、全体の約7割の企業がExcelを利用して予算管理業務を行っていることが明確になっています。このアンケートは、数年前から継続して同じ質問で調査を行っていますが、調査結果の傾向にあまり変わりはありません。例えば、3年前のアンケートにおいても、専用の予算管理ツールやパッケージを利用している企業は少なく、多くの企業がExcelで対応しているとの調査結果が出ています。

Excelは自由度が高く、非常に便利なツールです。しかしながら、予算の集計業務(79%)、入力フォーマットの作成やメンテナンス(54%)といったようにExcel予算管理に何らかの課題を感じている企業も多く存在することが、このアンケートから見て取れます。

 

Excel予算管理からの脱却

予算管理業務は、大きく2つのやり方で対応している企業が多いのではないでしょうか。つまり、Excelだけで対応している企業と、ERPや会計システムとExcelを併用している企業です。それでは、なぜ用の予算管理システムを利用する企業は少ないのでしょうか。それは、予算管理システムの利便性に気付いていないからではないでしょうか。ここからは、専用の予算管理システムを利用する効果を紹介していきます。

 

①予算編成業務
予算管理システムは自動的にデータを収集・集計することができるため、人の手入力によって起きうるヒューマンエラーをなくすことができます。また、各部署の予算の提出状況や最新バージョンのファイルを正確に管理することもできます。

②予実管理業務
予算編成の後は、期首に立てた予算に基づいて活動状況をモニタリングします。予算管理システムは、予算の達成状況をリアルタイムに把握することができるため、計画通りに進んでいない場合は、タイムリーに改善対策を練ることができます。

③予算の精度向上
予算管理システムは、過去の実績や予実対比のデータを分析したり、様々な条件を設定してあらゆる側面から予算のシミュレーションを行うことができます。シミュレーションを繰り返すことで、精度の高い予算編成を行うことができるようになります。

 

予算管理システムは、予算編成や予実管理の際に発生する業務をスピーディーかつ高い精度で業務を回すことができるツールです。更に、Excelが抱える「集計業務」や「入力フォーマットの作成やメンテナンス業務」、「予実対比時の過去実績データ確認作業」などの課題を解決することもできます。ただ、システムと聞くと操作が難しくて苦手意識を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最近の予算管理システムは、Excelとの親和性が高く、Exceライクな画面で予算管理業務を行うことができる製品も登場しています。ITやシステムに詳しくない方でも簡単にシステムを操作をすることができるようになっています。

もし、現在のExcel予算管理に不満を感じている方がいましたら、一度、予算管理システムの導入を検討して、予算管理業務を見直してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

◆Excelを利用した予算管理を採用する理由
・Excelを利用する企業が多い理由は、一般的なITツールと比較して安価で自由度が高く、誰でも使い慣れているからである。
・Excelを利用するメリットは、予算フォームの入力や予算報告をする場合などの作業を円滑に進めることができることである。
◆Excel予算管理における様々な弊害
・Excelは予算管理システムのように、リアルタイムに情報を一元管理することができないため、現状把握に時間がかかってしまう。
・Excelを利用するデメリットは、予算ファイルの収集や集計作業、フォーマットを修正する場合などに手間やミスが発生してしまう。
◆Excel予算管理における企業の実状
・予算管理業務において、予算管理システムではなく、Excelや会計システム等の機能を利用している企業が多い。
・予算管理業務の実状として、予算の集計業務や入力フォーマットの作成およびメンテナンス業務に課題を抱えている企業が多い。
◆Excel予算管理からの脱却
・予算管理システムは、ヒューマンエラーをなくし、各部署の予算の提出状況や最新バージョンのファイルを管理することができる。
・予算管理システムは、予算の達成状況をリアルタイムに把握することができるため、タイムリーに改善対策を練ることができる。

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