内部監査部門の業務効率化!整備状況評価の基礎知識

2016年09月15日

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今回は、内部統制の整備状況評価について考えてみたいと思います。
金融商品取引法における内部統制とは、財務諸表を正しく作成するために、従業員が守るべき会社のルールや仕組みです。そして整備状況評価とは、財務報告に係るリスクを低減する仕組みがあるかを確認することです。
それでは早速、整備状況評価とはどのようなものなのか見ていきましょう。

 


整備状況評価の評価ポイント

まずは、整備状況評価を行う際の評価ポイントを説明します。
整備状況評価における評価ポイントは、大きく分けて3つあります。

 

①明文化
リスクを低減するルールや仕組みが実際に存在しており、それらが正しく規程や業務手順書等の文書に反映されているか確認します。
ルール等が存在していても、従業員同士が暗黙の了解として認識しているだけでは整備状況評価の証拠として弱いため、それらを明文化しているか確認することがポイントとなります。

 

②体制
承認体制や職務分離が整備されているか、研修や資格補助等の教育の仕組みがあるかを確認します。
財務諸表を正確に作成するために、職務権限規程に承認等権限の範囲が定められているか、また、研修等教育制度を整備し、財務諸表を正しく作成するための能力を向上させる機会を与えているかを確認します。

 

③統制の適切性
業務プロセスにおいて、財務報告に係るリスクを低減する統制活動が整備されているか、1つの取引を対象に評価を行います。
業務プロセスにおける取引の開始から仕訳計上に至るまでの一連の流れを、証憑を収集して確認します。


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整備状況評価の悩みどころ

整備状況評価を行う際、内部監査部門はどのような悩みを抱えているのでしょうか。
内部監査部門担当者からは、以下のようなお声をよく聞きます。

 

■課題1
「評価手続(証憑名や評価ポイント)が明確になっていないため、具体的にどの証憑を取得し、どの部分を見て評価して良いのか分からない。」

整備状況評価は、現場部門で実際使用している証憑を収集することになりますが、評価者は統制活動自体を理解していても、実際使用している証憑名までを確認していない場合があります。また、評価ポイントが明確になっていないと、評価者は何をもって統制活動を有効として良いか判断できません。

 

■課題2
「現場の業務では、証憑が複数部署に跨って承認、回覧されている場合、どの部署で証憑を収集してよいか分からない。」

業務プロセスを基に証憑の管理部署を判断しているため、営業部門で作成している証憑は営業部門が管理しているように思いがちですが、回覧の結果、最終的には別の部署で管理されている場合があります。

整備状況評価の悩みを解決する方法

それでは、課題の解決策を説明します。

 

■課題1
「評価手続が明確になっていないため、具体的にどの証憑を取得し、どの部分を見て評価して良いのか分からない。」

☑課題1の解決策
統制活動実施者に対する現場ヒアリングの際に、実際の証憑を持参して頂き、証憑を確認しながら評価手続をその場で決定します。評価手続の例としては、会計伝票と根拠計算書の合計値の一致、統制実施者(例:課長)の押印等があります。

 

■課題2
「現場の業務では、証憑が複数部署に跨って承認、回覧されている場合、どの部署で証憑を収集してよいか分からない。」

☑課題2の解決策
証憑の最終保管先を把握し、サンプリング一覧は、業務プロセスごとではなく、部署ごとに作成します。その際、業務プロセス全体の業務の流れや統制活動を事前に理解しておくことがポイントとなります。

 

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整備状況評価を実施する前に

整備状況評価は統制活動の仕組みを確認することであると冒頭でお伝えしましたが、上述の評価ポイントや課題に対する解決策をおさえておけば、整備状況評価はとても簡単です。評価手続さえ明確にすれば、後は手続通りに証憑等を収集して評価を行うだけですので、難しい評価知識は必要ありません。

評価手続は、評価作業の土台です。ポイントをおさえて評価手続を決めておけば、次に行う運用状況評価もスムーズに進めることができます。

まとめ

・整備状況評価とは
規程や体制、業務手順等の閲覧により、ルールや仕組みが財務報告に係るリスクを低減しているか確認すること
おさえておくべき整備状況評価の確認ポイント
☑明文化
リスクを低減するルールや仕組みが明文化されているか確認する
☑体制
承認等の職務権限範囲や教育制度等が整えられているか確認する
☑統制の適切性
統制活動が整備されているか、1つの取引を対象に確認する
・整備状況評価作業の実践ポイント
☑現場ヒアリングの際に、統制活動の実施者を交えて実際の証憑を確認しながら、評価手続をその場で決定する
サンプリング一覧は部署ごとに作成し、証憑の最終保管先が明確になるようにする
☑業務プロセス全体の業務の流れや統制活動を事前に理解しておく

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