『RPA』とは何か?~間接業務の自動化ツール~

2017年07月27日

 

昨年から『RPA(Robotic Process Automation)』という言葉をよく耳にするようになりました。頭に「ロボ」とつくので、物理的なロボットを想像してしまいますが、あくまでも「ソフトウェア」であって、ロボットではありません。『定型的な業務を自動化』するためのソフトで、複数のアプリケーションを横断できる巨大なマクロのようなものです。

 

このRPAですが、単純に業務を自動化するだけでなく、処理スピード向上による業務の効率化や、人為的なミスがなくなることによる業務の高品質化といった効果も期待できます。
今回は、RPAとはどのようなものか、その特徴や期待効果をご紹介します。

 


間接業務に迫る自動化(ロボット化)の波

ひと昔前までは、「ロボット」というとマンガや映画の中の話で、あまり現実味を帯びた話ではありませんでした。
実際に、ロボット(機械)がよく使われる製造現場でも、ほとんどの製品はヒトの手によって作られていて、機械はヒトの補助という役割を担っていました。
しかし、現在の工場の生産ラインを見渡すと、ヒトよりもロボットの方がはるかに多く、ヒトがロボットのメンテナンスを行うといった補助を担っています。このように、工場などの直接部門では、ヒトとロボットの関係が逆転してしまった、という現象も今は珍しくありません。

 

では、ホワイトカラーと呼ばれている、「間接業務」ではどうでしょうか。
オックスフォード大学から2013年に発表された論文で、興味深いデータがあります。
今後、10~20年で約半分の職業がコンピューター化によって自動化されるというのです。中には、
・データ入力作業員
・会計事務員
・銀行の融資担当
・コンピューターオペレーター
・電話オペレーター
といった職業が挙げられています。

 

比較的に定例化しやすい業務は、これから順次自動化されていく傾向にあるようです。
マッキンゼー・アンド・カンパニー社の調査結果では、2025年までに1/3の間接業務がRPAによって置き換わるという記事を発表しています。もはや間接業務も直接業務と同じように、自動化の波は避けて通れない状況となりつつあります。

 

 

RPA(Robotic Process Automation)とは?

RPAは、Robotic Process Automationの頭文字をとった略称で、日本語に訳すと、ロボット(R)による業務プロセス(P)の自動化(A)となります。
RPAは、しばしば「デジタルレイバー」や「スマートロボット」と呼ばれることもあります。
あたまに「ロボ」とつくので、どうしても物理的なロボットを想像してしまいますが、RPAはコンピュータープログラムによって、定型業務をヒトの代わりに処理する「ソフトウェア」なのです。
要するに、RPAは間接業務を対象とした「業務の自動化ツール」と言うことができます。

 

【RPAの特徴】
・ロボットではなく、アプリケーションソフトウェア
・ヒトに代わって決まった作業を繰り返し実施する
・様々な機能やアプリケーションを横断し実行できる巨大マクロ
・設計・メンテナンスが容易で、現場部門でも対応できる

 

『RPA』という言葉自体は、昨年くらいから広まり始めましたが、RPAの技術自体は、実はそれほど新しいものではありません。プログラミングに詳しい方であれば、「今さら?」と思われることも多いようです。
なぜこれほどまでに急速に広まったかと言うと、現場担当者が簡単に構築・メンテナンスができるという点が大きいように思います。自動化(システム化)というと、どうしても情報システム部が統括し、開発を進めますので、「直ぐに対応できない」ということが多いです。しかし、RPAは現場部門で構築・メンテナンスができますので、「ちょっとしたこと」でも直ぐに自動化の対応が可能です。

 

これらのことから、RPA自体はその他のシステムと同じように、「アプリケーションソフトウェア」ですが、Excelマクロのように、自動化の設計・メンテナンスが容易で、現場部門で対応できることが、最大の特徴と言えます。

 

 

RPAで何ができる?~RPAの期待効果~

RPAは、業務を自動化するツールとなりますので、単純に考えれば『業務効率化』が期待できます。
しかし、RPAは「効率化」以外にも、様々な効果が見込まれます。

 

1.24時間休みなく働き続けることができる
ソフトウェアなので当たり前と言えばそれまでですが、RPAは24時間いつでも作業を行うことができます。
ヒトが行う業務をRPAに代行させることで、勤務時間外に作業をさせることができますので、勤務時間外を踏まえた業務設計が可能になります。
また、ヒトと違いパフォーマンスが落ちたり、休んで業務が止まるといった心配もありません。

 

2.ヒトよりも処理スピードが速い
RPAは、ヒトと比べて約150~200倍のスピードで処理することができます。
ヒトが1件あたり5分で入力する作業も、RPAは1.5~2秒で終わらせることができます。
1日当たり100件の入力がある場合、ヒトが行うと500分かかりますが、RPAを使うことで1.5~2分で完了させることができます。

 

3.ケアレスミスが発生しないため、高品質の業務が担保できる
ヒトは誰しもケアレスミスを起こしますが、RPAであればその心配はいりません。
もちろん、RPAに実施させるプロセスの登録自体が間違っていれば、反復的にミスが発生してしまいますが、一度補正してしまえば、その後にミスは発生しません。

 

4.業務の引継ぎが不要となる
ヒトが業務を担当している場合、担当者の異動、退職などにより、業務の引継ぎが発生します。
新しい担当者は、業務に慣れるまで、なかなかパフォーマンスが発揮できませんが、RPAであれば、退職や異動はありませんので、引継ぎによるパフォーマンスの低下リスクが無くなります。

 

このように、RPAは単純に業務を効率化するだけでなく、勤務時間外も含めた新しい業務設計、業務品質の向上、パフォーマンス低下リスクの低減といった効果が期待できるのです。

 

 

RPAによる自動化とシステムによる自動化の違い

ここまでで、RPAの特徴や期待効果を紹介しましたが、「システムとRPAって自動化の何が違うの?」と考える方もいるかと思います。

 

RPAとシステムでは、自動化の守備範囲が異なります。
例えば、債権管理システムを導入することにより、取引先ごとの売掛金が自動集計されたり、請求書を作成する手間が無くなったりと、ある程度の業務を自動化することができます。
しかし、システムには、必ずカバーする業務の範囲があります。
この「システムでカバーできない範囲」に対して効果を発揮するのが、RPAなのです。

 

売掛金管理の業務プロセスを例に見ていきましょう。
1.売上(売掛金)を計上する
2.取引先ごとに売掛金データを集計する
3.取引先からの入金データを債権管理システムに入力する
4.売掛金と入金を突合し、消し込みを行なう
5.取引先ごとの売掛金残高を確認する
このようなプロセスを想定して、債権管理システムは設計されていますが、全ての作業をシステム化(自動化)できるように想定されている訳ではありません。

 

例えば、1、3、4の「データ入力・登録作業」は、人の手を介して行うことが一般的です。
このシステムからこぼれた部分に有効なのが、RPAなのです。
自動化にあたっては、Excelのマクロの様に、手順を1つ1つ登録しなければなりませんので、あまり複雑な業務には向いていませんが、売上報告書をもとに売上を計上する、入金情報をもとにデータを入力する、同じ取引先の売掛金と入金を引き当てる、といった比較的に単純な作業であれば、RPAに代行させることができます。
もちろん、中には「イレギュラーなケース」が発生しますので、その部分はヒトが代行しなければなりませんが、全体の8~9割くらいはRPAで自動化が行えると考えられます。

 

このように、システムを使って自動化できる範囲は決まっていますが、その範囲外に対して有効なのがRPAなのです。
RPAと現行のシステムをうまく組み合わせることができれば、間接業務に費やす工数は劇的に削減できます。

 

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まとめ

・RPAの特徴
☑ ロボットではなくアプリケーションソフトウェアで、ヒトに代わって決まった作業を繰り返し実施する
☑ 様々な機能やアプリケーションを横断し実行できる巨大マクロのようなもの
☑ 設計・メンテナンスが容易で、現場部門でも対応できる
・RPAの期待効果
☑ 24時間休みなく働き続けることができる
☑ ヒトよりも処理スピードが速い(150~200倍)
☑ ケアレスミスが発生しないため、高品質の業務が担保できる
・RPAと通常のシステム
☑ 通常のシステム(販売・会計・人事システムなど)は、カバーできる作業の範囲が限られている
☑ RPAは、システムでカバーできない手作業を自動化するのに最適
☑ RPAと通常のシステムを組み合わせることにより、間接業務の工数は劇的に削減できる

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